初頭効果は、「最初に与えられた情報によって、その印象が記憶に残る」という心理効果のこと。いわゆる「第一印象の影響」であり、その影響はその後もかなり長く続くことが知られている。
初頭効果は、人間関係に影響することが多いが、広告や販促活動などのマーケティングでも多く利用されている。
※一方で、初頭効果とは逆の展開で作用する「新近効果(最後に接したものが印象に残る)」という心理効果もある。
アメリカの心理学者ソロモン・アッシュが行った「印象形成の実験」がある。
人物の性格を表す形容詞を、並べ方を変えて2種類用意した際、書かれている形容詞の内容は同じであっても、ポジティブな内容が先に書かれている方に良い印象をもったというもの。
例)
Aさんの性格を①と②のように書く(説明する)
①:ポジティブな性格が先
ほがらか、正直、信頼できる、用心深い、短気、嫉妬心が強い
②:ネガティブな性格が先
嫉妬心が強い、短気、用意深い、信頼できる、正直、ほがらか
結果は、①を見た人のほうがAさんにいい印象を持った。
初頭効果は、マーケティングでは、ブランド立ち上げや新商品発売などのローンチ期によく利用される。
商品やサービスにターゲットが初めて接するシーンで強い第一印象を残すことで、後々までその印象が継続することを狙うもので、以下のような方法が代表的である。
まず対象商品について、多くの人たちに良い印象として受け入れられる優位点を見つける。
そしてそれをわかり易く表現し、好意的な第一印象として印象づける。
初頭効果を狙う具体的な施策には、他の心理効果も合わせて使うことが効果的。
見た目や肩書などの目立ちやすい特長が評価に影響する。
当事者からよりも、(利害関係のない)第三者に言われた褒め言葉の方が嬉しいと感じる。
世間の流行りなど多数派の評価を判断材料にしてしまう。
初頭効果の具体的なマーケティング施策例は以下のようなものがある。
パッケージデザインは購買者が手に取る前に触れる情報。
カッコイイ、キレイ、カワイイ、オシャレ、などの好印象をデザインの力によって印象づけ、初頭効果を発揮させる。
最も訴求したい特長やメリット、また興味を示しそうな内容などの情報をコンテンツの前半に置く。
どのような情報を前に置くかは、他の心理効果を合わせて相乗作用も狙うことが有効。
権威ある肩書 ▶権威への服従原理
「〇〇が認めた成分」
客観的なデータ ▶社会的証明の原理
「〇〇%のユーザがまた使いたいと答えた」
「〇秒に△△本売れた」
第三者からの推奨 ▶ウインザー効果
「〇〇さんも愛用中」
初頭効果が特に効果的に働くのは、その商品に対して関心の低い層とされている。
まだその商品についてよく知らない、利用したことがない、という人をターゲットとして、初期利用者へ大きな優遇を行うキャンペーンなどは初頭効果を狙ったものである。
販売の現場で商品を紹介する時、または営業などで自社のサービスを紹介する時には、その最も特徴的な優位点を一番最初に話す。