気分一致効果


気分一致効果とは


ポジティブな気分のときにポジティブな行動を起こす。

気分一致効果は、気分と一致する感情的な記憶によって行動や判断に影響が出る心理効果のことです。つまり、いい気分のときにはポジティブな言動をしやすく、悪い気分の時にはネガティブな言動をすることが多いというものです。

1981年にアメリカの心理学者ゴードン・H・バウアーにより提唱されました。

また気分一致効果は、現在の状況だけでなく、過去や未来の感情にも働くとされています。例えば、過去の楽しい出来事を思い出している時や、これからの起こりそうな楽しいことを期待している時などのワクワク感によっても、現在でポジティブな行動を起こすという現象です。

 


気分一致効果のマーケティング活用


マーケティングの領域で気分一致効果は、ブランドのイメージ作りや購買意欲の喚起などにつねに活用されています。

 

楽しい気分になれるシーンでの広告

「いい気分の時に表示された広告には関心が向きやすい」という理論から、人が楽しい気分になれたり、気持ちが高揚したりする場面で掲載される広告は、ポジティブ行動を促すのに効果的とされています。例としては、盛り上がるイベントや多くの人が注目するスポーツ、多くの人がワクワクできるドラマなどです。

そしてこれらの広告媒体は料金が高く設定されています。

 ▶広告について

 

気分が高揚する売り場づくり

気分一致効果は購買決定に影響する場合もあります。いわゆる「気分のいい時はお財布の紐が緩む」という現象です。

商品が並んでいる店内やWEBショップの画面の前では、ターゲットに「楽しくポジティブな気分」になってもらうように、装飾や陳列がするのが効果的と考えられています。

販促や啓蒙広告では一部、”不安を煽る”手法も存在しますが、気分一致効果の観点では、ポジティブな気分づくりが基本です。気分一致効果をマーケティングに活用する場合は、商品を購入させることだけでなく、長期的にみて商品やブランドに対してポジティブや好印象をもってもらうことも狙います。

販売促進について

 



気分一致効果のマーケティング施策具体例


具体的なマーケティング手法の中から、気分一致効果を狙うことができるものを例としていくつかピックアップしてみます。

 

ECサイトでの決済完了画面のバナー広告

WEBマーケティングにおいて、ネットショップで購入手続きが完了した時点で表示される「決済完了画面」への広告は、クリック率は大きく上がるとされています。

 気分一致効果に関わらず、「手続きが無事に完了したか画面に注目するため、広告も認知されやすい」という要因が想定できますが、それ以外にも「買い物による快感」という気分一致効果が大きく作用していると考えられています。

 

スポーツコンテンツでの広告

アメリカでは「スーパーボウル」中継番組のTVCM料金は破格に高いことが知られています。日本でもオリンピックや世界大会はもちろん、野球やサッカーなど人気のスポーツの試合では同様です。

スポーツ番組は視聴者数が多いことに加え、試合の興奮が気分一致効果を生み、CMで流れる商品への好反応に繋がるとされています。

 

バースデープロモーション

誕生日付近に送られるDMは、反応率が高いとされています。誕生日は本人にとって特別な日であるので、気分が盛り上がりやすいことが理由です。

 

テレビショッピングのポジティブ演出

テレビショッピングでは、司会が元気に話したり、明るい音楽が流れたり、体験者の感動的なストーリーによって演出されます。視聴者の気分も盛り上げることで、購入へと向かわせる気分一致効果を意識しています。

 

無料ノベルティ配布

ショッピングセンターなどで行われるノベルティ配布や無料サービスによっては、「ちょっと得をした」と感じる気分一致効果が働きます。それによって「何かが買って帰ろう」という気持ちが生まれるだけでなく、以降も気分一致効果は続き、その時購入した製品への愛着や満足度も高まるとされています。

 



 ※心理学の作用は、マーケティング企画が必ず成功するなど、すべての人の行動に当てはまるものではありません。多くの効果にはその逆に当たる現状がと存在します。あくまでも、マーケティングの施策を検討する際の一つの考え方・方向性として活用してください。