春に旬を迎える食材


山菜(タラの芽、ウド、ふき、わらびなど)


山菜とは山などに自生している食べられる野草のことで、アクの強さと独特の苦みが特徴です。多くは3月下旬~6月上旬に旬を迎えます。最も早いものでは雪解けと共に姿を現す「ふきのとう」で、春の訪れを告げる山菜として知られています。他にもわらびやタラの芽、ウドなど、春が旬の山菜は多種多様。これらはまだ柔らかい新芽や若い茎などを食用とするものが多く、芽が出始める春~初夏にかけて食べ頃となります。


菜の花


1~3月頃に旬を迎える菜の花は、春の訪れを告げる野菜のひとつ。独特のほろ苦さが特徴の、アブラナ科の植物です。早いものでは11月頃から出回るものもありますが、本来の旬は春。初春になると黄色い花が咲き始める菜の花は、2月下旬~4月頃に見頃を迎えます。食用となるのは花が咲く前のつぼみと花茎を収穫したものなので、花の開花の前にあたる時期が旬に当たります。


アスパラガス


アスパラガスは産地によって収穫時期が異なり、本州産は45月頃、北海道産は6月頃にそれぞれ旬を迎えます。旬のアスパラガスは太くて断面がみずみずしく、シャキッとした歯ごたえが特徴的です。アスパラガスとは地中海原産のユリ科の植物で、春先になり、地表から伸びてきた新芽の茎を切り取ったものが食用になります。そのため収穫せずに放置すると、穂先が開いて花が咲いてしまうので、春~初夏にかけての時期が旬となります。


春キャベツ


35月頃に旬を迎える春キャベツは、「春玉」や「新キャベツ」とも呼ばれ、実は通年売られているキャベツ(寒玉)とはそもそも異なる品種です。種まきの時期も異なり、寒玉は夏に種まきが行われるのに対し、春キャベツは秋に種まきが行われます。春キャベツは鮮やかな黄緑色で形が丸く、葉の巻きがゆるいので、見た目からも寒玉と簡単に見分けられます。柔らかくてみずみずしい葉は、サラダなどの生食に適しています。


新玉ねぎ


新玉ねぎとは、収穫後すぐに出荷される早取り玉ねぎの総称のこと。旬は3~5月頃。皮が薄く、真っ白でみずみずしい見た目と、辛みが少ないのが特徴です。通常、玉ねぎは9月頃に種まきをして春に収穫し、日持ちを良くするために1ヶ月ほど乾燥させてから出荷しています。一方の新玉ねぎは収穫後すぐに出荷される新鮮な状態なので、普通の玉ねぎに比べて足がはやく、新玉ねぎの美味しさは春だけでの期間限定です。


たけのこ


たけのこは2月下旬から初物が出回りはじめ、34月頃に旬を迎えます。たけのことは文字通り「竹の子」で、春になり暖かくなって出てきた竹の若芽を食用にしています。竹の成長スピードは非常に早く、地表に芽を出してから10日後には数10cmにもなるため、収穫時期は限られています。



鰆(さわら)


魚へんに春と書く「鰆(さわら)」の旬は地域によって異なり、関東では122月頃、関西では35月頃が旬とされています。回遊魚であるさわらは、餌を求めて春~夏にかけて北上し、秋~冬にかけて南下します。56月にかけては産卵のため瀬戸内海付近の海域に集まるため、この地域では春に漁獲量が多く、さわらの産地としても有名で、関西ではさわらは春の魚として認識されています。春のさわらは脂が少なくさっぱりとした味わいです。


しらす


しらすの旬は、一般的には3月下旬~5月頃が旬とされています。しらすとはイワシの稚魚の総称です。マイワシやウルメイワシなどの主な種は、冬~春の間に産卵するので、その稚魚であるしらすは春~初夏の時期が旬になります。また、環境資源保護のため、しらす漁には県ごとに禁漁期間が設けられており、産地として有名な静岡県や神奈川県では、3月下旬以降に漁が解禁するので、春先にしらすの初物が出回ります。


鰹(かつお)


回遊魚である鰹は年に2回旬があり、35月頃に獲れるものは「初鰹」、9月頃に獲れるものは「戻り鰹」と呼ばれます。鰹は、23月頃に鹿児島県沖から回遊をスタートして北上し、8月~11月頃にかけ再び鹿児島県沖を目指して南下します。そのため春に獲れるかつおは、まだ十分な栄養素を蓄えておらず、脂が少なく引き締まった赤身が特徴です。春の鰹はさっぱりとした味で「鰹のたたき」に適しています。高知県の名産としても有名です。


鯛(たい)


鯛茶漬け一般的に日本で鯛といえば真鯛を指し、一年を通して漁獲量のある魚ですが、春と秋の年に2回旬を迎えます。35月頃が旬の春の鯛は「桜鯛」と呼ばれ、産卵のために浅瀬へとやってきたもの。産卵を控えた鯛は脂がのっていて、卵や白子を楽しめるのも春ならではです。「桜鯛」の名前の由来は諸説ありますが、春の雌の体全体が桜色をしており、雄には桜の花びらのような白い斑点が見えるから、というのが一説にあります。旬の鯛は上品な味わいが特徴です。



いちご


現在はハウス栽培が主流で、クリスマスケーキの材料としての需要も高いことから、12月頃から収穫されていますが、自然栽培での旬は46月頃の春真っただ中。自然栽培においては、秋に花芽が作られた後、冬の休眠を経て、春に花が咲いた約2か月後にいちごの実が採れるためです。実はハウス栽培もこのいちごの性質を利用して作られています。