優れた特徴や目立った特徴、権威などに影響されて全体を評価してしまう心理効果が「ハロー効果」です。
同じモノであっても、その背景に「すごい、偉い、有名、優秀」などの情報があると、はじめから、すごいモノ、良いモノと思いがちです。
ここでは、ハロー効果をマーケティングに活用する際に知っておくべきことをまとめます。
ハロー効果とは、「物事の評価が、一部の優れた特徴や権威に影響されしまう」心理効果のことです。マーケティングでは、広告やPRなど印象が影響する施策に多く活用されています。
人は、物事の一面を判断した時に、それを先入観として他の部分にもバイアスのかかった評価をしてしまう傾向があります。
例としては、高学歴の人を「真面目でしっかりした人格者だろう」と考えたり、高級ブランドの商品を「値段が高いから素材が良く、デザインも優れている」と捉えることなどが挙げられます。このように、ある秀でた特徴を全体評価として捉えることをポジティブハロー効果といい、主に過大評価という意味で使われています。
「ハロー」とは、HelloではなくHalo(後光、光輝)のことで、言い換えれば「権威効果」とも言えます。
多くの人は、権威があるという評価に影響されやすいものです。
例えば、同じ言葉でも、有名な人や偉人などの言葉だと知った場合と、無名の人または自分が尊敬していない人の言葉だった場合では、印象が変わるでしょう。
アメリカ教育心理学の創始者とも言われるエドワード・L・ソーンダイクが、1929年に発表した論文で、この心理現象について「ハロー効果」という言葉をはじめて使ったとされています。
ハロー効果がマーケティングに影響する場面には、ポジティブハローとネガティブハローがあります。
語源から見ると、ハロー効果は「ポジティブハロー効果」と捉えるのが基本ですが、マーケティングでは、多く起こる”逆効果”に対しても「ネガティブハロー」という言葉を使って表現することがあります。
マーケティング施策に活用される基本的なハロー効果は、商品やサービスが良い印象、高い評価を得られるようにする、ポジティブハロー効果です。
多くの人が好感、高評価をする要素を前面に打ち出し、その商品やブランドの全体的な評価を高評価へと導きます。
社会でマイナスの評価を受けるモノやコトが商品とリンクすると、その商品も悪い特徴に影響されてしまう現象です。
SNSでの炎上や、イメージキャラクターを務めたタレントの不祥事などが、商品に非はなくても、商品やブランド、企業のイメージを悪くしてしまう例があります。
近年はこのネガティブハローのリスクヘッジも重視されています。
ハロー効果をマーケティングの施策として効果が発揮される際には、他の心理効果と組み合わさり、相乗効果を発揮していることが多くあります。
初頭効果は、「最初に受けた印象でそのもの全体が判断され、その印象が長く続く」心理効果です。
ハロー効果によって強められる好印象を最初に与えることで、初頭効果によりその好印象が後々も続きます。商品やブランドの良い第一印象のために、目立った特徴づくりが必要とされる理由です。
マーケティング施策の中で、前面に打ち出すことで効果的な”優れた特徴”の例をいくつか挙げてみます。
継続的に高い評価を得ているであろうと想像できる利用実績や歴史をアピールします。流行に左右されない堅実な商品であるのだろうという印象を与え、商品の信頼性や安定感を重視するターゲットに有効です。
【例】
・創業〇〇年
・皇室御用達 など。
目立つ特徴の中でも、多くの消費者が気にしていることや社会で話題になっている事について、対応していることをアピールします。
社会的に「これが良いことだ」をいう論が広まっているところがポイントで、求めているターゲットがいるという判断のもとに行うことが有効です。多数の人が評価しているものを高く評価してしまう心理「バンドワゴン効果」との相乗効果です。
【例】
・化学調味料無添加
・シリコンフリー
・動物実験を行っていません など
高度な技術をもつ専門家や、権威があるとされる人や機関が関わっていることをアピールします。
【例】
・医師が監修
・NASAと共同開発 など
販売員や営業スタッフの資格や役職を名札や名刺に記載して専門性を強調したり、ユニフォームや身だしなみでプロフェッショナルであることを印象付けます。
「この人の話(セールストーク、商品説明)は、信用できる」という印象づくりに効果的です。
また、スタッフの清潔感・安心感のある姿は、具体的なデータや肩書による信頼以外に、心情的なハロー効果が働きやすい顕著な例です。前述の学歴での性格を判断してしまう例のように、「身なりがちゃんとしている人は、仕事もちゃんとしているだろう」と考えるのはよくあることです。
また、ユニフォームは、ブランドをしっかりと表現するためにも重要な施策です。
近年、多様されているインフルエンサーの活用は、ハロー効果の代表的な施策例です。
インフルエンサーは、その分野で影響力を持っている人物であり、目立った特徴を持っている人物です。そのハロー(後光)をによって、商品の特徴が際立ち、全体の高評価へと導かれます。
【例】
・美しい女優さんが愛用しているコスメだから、美容効果があるのだろう。
・有名な医師が推奨している健康食品だから、安全な商品だろう。
・一流プロスポーツ選手が使っている道具は、性能が高いのだろう。 など
ただし、先述しているように、インフルエンサーやイメージキャラクターの展開は、ネガティブハローを起こすリスクもあります。現代ではインフルエンサーマーケティングがよく知られるようになっていること、いわゆる「ステマ」などマーケティング的な誘導があるとわかると過剰に嫌悪する人が多いこともあり、展開には注意も必要です。