
ノンアルコール市場は、近年ますます拡大中。
特に近年の特徴は、健康意識の高まりやライフスタイルの変化によって、ノンアルコールがお酒を飲めない状況での代替品としてだけでなく、積極的に選択されるようになっていること。商品数も多くなり、幅広い世代でノンアルコールが選択肢の一つに入ってきています。
ここでは、ノンアルコール商品および市場に関するニュースを随時ピックアップしています。
ノンアルコール市場規模について
サントリーが行った調査によると、ノンアルコール飲料市場は、2015年より7年連続で伸長し、2021年は対前年115%で過去最大規模になったと推計。
2022年には、対前年104%と引き続き拡大すると見込んでいる。

ソバーキュリアスとは
禁酒のように「お酒を我慢する」のではなく、お酒を飲める人が“あえてお酒を飲まない”という肯定的な選択をするライフスタイルのこと。Sober(しらふ)とCurious(好奇心が強い)を組み合わせた造語。
健康志向の高まりなどから、Z世代など若い世代を中心に日本でも広まりつつある。
ソバーキュリアスな行動としては、飲み会でも敢えてソフトドリンクのみで楽しんだり、晩酌を健康のために減らしたりなどが当てはまる。
ソバーキュリアスという言葉は2019年頃に欧米に流行し、2021年に入ったころから日本でも注目され始めたとされる。
ノンアルコールを選択する理由((株)LANY調べ)
ノンアルコールビール専門のEC&メディアAlldropを運営する株式会社LANYが行ったインターネット調査によると、 やむを得ずノンアルコールビールを飲む人よりも、"積極的選択" としてノンアルコールビールを飲んでいる人が多い結果となっている。
【調査概要】
・対象者 :20代〜70代の男女
・回答者数:247人
・調査期間:2022年11月4日〜6日


中でも「お酒を飲まずに取り組みたいことがある」の理由が多くなっていることが、近年の特徴とされ、ソーバキュリアン(=ソバーキュリアスを実行する人)が日本にも増えてきていることが感じられる。
ノンアルコールの最新トピックス(2023.5)
スマドリバー渋谷監修の『Ariake Miraie CAFÉ』オープン

『スマドリバー渋谷』とトヨタモビリティ東京がコラボしたカフェ「『Ariake Miraie CAFÉ』が2023年5月13日にオープン。
『Ariake Miraie CAFÉ』は、トヨタとレクサス複合施設型店舗「トヨタモビリティ東京有明」に併設される「Ariake Miraie(有明ミライエ)」内のカフェ。
提供されるノンアルコールドリンクのメニューをスマドリバー渋谷が監修し、タイヤの回転を想起させる『ゴールデントルク』やガソリンの注入を表現した『グリーン・リフュール』など、オリジナルのドリンクメニューが提供される。
ノンアルコール商品のニュース
「キリン グリーンズフリー」の3月の販売好調で4月は当初計画の約2倍に増産

キリンのノンアルコール・ビールテイスト飲料「キリン グリーンズフリー」の2023年3月月間の販売数量(缶・小びん)が、前年比約3.7倍と好調に推移。
4月は当初予定の約2倍に増産し、供給体制を整えると発表された。
「キリン グリーンズフリー」小びんは、全国の飲食店向けに2月21日(火)に発売。2023年4月10日時点で採用店舗数が9,000店を突破。
IPAノンアルコールビール 「サッポロ 酔わないCRAFT」新発売

サッポロビールから2023年4月4日にIPAタイプのノンアルコールビール「サッポロ 酔わないCRAFT」が発売。
麦芽、ホップ、酵母を原料に使用したアルコール0.00%のノンアルコールビールで、選び抜いたIPAフレーバーをブレンドし酵母仕込製法を採用し爽やかな香りとしっかりとした苦味が特徴。
機能性表示食品のノンアルコールレモンサワー「サッポロ LEMON'S FREE」パッケージリニューアル

サッポロビールの機能性表示食品のノンアルコールRTD「サッポロ LEMON'S FREE(レモンズフリー)が2023年1月より順次リニューアルされる。
「サッポロ LEMON'S FRE」は、機能性表示食品のノンアルコールレモンサワーとして、クエン酸の働きで疲労感を軽減する機能性とレモンサワーのような満足感のある味わいを両立。
今回のパッケージリニューアルでは、しっかり濃いレモン感をあらわす大きなレモンを缶の上部に配置し「クエン酸の働きで疲労感軽減」のアイコンを赤色ラベルで表記することで、レモンの濃さと機能性を訴求強化。
アサヒドライゼロ発売10周年(2022年)

2012年2月に発売されたアサヒドライゼロは、2022年で10周年を迎える。
ノンアルコールビールテイスト飲料市場において、6年連続売上No.1(2016年1月~2021年12月)を達成。2021年の年間販売数量もブランド計で前年比113%と好調。
リニューアル点は、原材料の配合によって「味をよりビールに近づけた」ことと「ノンアルコールであること」の訴求を強化したパッケージデザイン。
広告キャラクターは石川遼から菅田将暉に交代。
ノンアルコール商品のプロモーション事例
Alldrop サウナの日にノンアルコールビールを無料プレゼント

海外ノンアルコールクラフトビールを輸入販売するAlldropは、2023年3月7日(火)のサウナの日に、「頑張る人のサ活を応援したい!Alldrop ととのうノンアルコールビールプレゼント!」を実施。
首都圏のサウナ施設にノンアルコールクラフトビールをプレゼントする。
実施サウナ施設
サントリー のんある酒場(2022年)

サントリーのノンアルコール飲料を楽しめる「のんある酒場」が、東京駅一番街2階の東京グルメゾンに2022年のGW期間限定でオープン。
サントリーのノンアルコール製品を使ったカクテルなどが提供される。
S&B ハーブの日にモクテル訴求(2020)

エスビー食品は2017年より、8月2日をハーブの日と制定。
2020年は英国風パブ「HUB」とコラボし「モクテル(ノンアルコール・カクテル)」をテーマにしたプロモーションを展開。
(1)オンライン飲み会
コラボモクテルのレシピ紹介、スパイス&ハーブマスターとHUB商品企画担当によるトークセッション。参加方法は、予約制のZoom視聴で先着300名
(2)オリジナルカクテル販売
HUBの一部店舗で期間限定でオリジナルカクテルを販売
※モクテルとは
「真似た」という意味の「mock(モック)」と「cocktail(カクテル)」を組み合わせた造語。近年イギリスでの流行が始まったと言われる。
ノンアルコール専門の企業・飲食店
Alldrop

Alldropは、海外クラフトノンアルコールビールの輸入販売及びメディアを運営。
飲食店、小売店、宿泊施設、キャンプ場、シェアオフィスなどの幅広い施設にて、海外ノンアルコールクラフトビールを販売。
運営しているのはミレニアル世代の3人。「日々、夢中になって前進するすべての人をノンアルコールビールを通してエンパワーメントしたい」というコンセプトを掲げている。
Beverich

『Beverich(ビバリッチ)』は、国内外のアルコール度数が1%未満のノンアル、低アルコール飲料やコンブチャ、ボトリングティーなどのスペシャルティドリンクを専門に取り扱うECサイト。社名の由来は、飲み物(Beverage)とそれが多様性に富んだ豊かさ(rich)をかけて、飲みものの楽しみを増やしたいという想いを込めたもの。
ノンアルコールクラフトビールBRULOをはじめ、様々なノンアルコールドリンクを販売。飲食店への卸売りも行う。
SUMADORI-BAR SHIBUYA

アルコール度数を選んでドリンクが楽しめるバー『SUMADORI-BAR SHIBUYA(スマドリバーシブヤ)』が、2022年6月30日渋谷センター街にオープン。
アサヒビールが提唱する「スマートドリンキング」を実現するバーとして、飲める人だけでなく、飲めない人、飲まない人も、お互いを尊重しながら楽しめるバー。
ドリンクのアルコール度数は、0.00%、0.5%、3.0%以上から選べ、自分の体質や好みに合った飲み方ができる。
※スマートドリンキングとは
アサヒビールが提唱する「責任ある飲酒」の取り組みの一環。
お酒を飲む・飲まない、飲める・飲めない、飲みたい時・飲まない時など、さまざまな人々の状況や場面における“飲み方”の選択肢を拡大し、多様性を受容する商品やサービスの開発、環境づくりを推進していくこと。
▶スマートドリンキング(飲み方の多様性)について
0% NON-ALCOHOL EXPERIENCE

「0% NON-ALCOHOL EXPERIENCE(ノンアルコール エクスペリエンス)」は、2020年7月16日、六本木「ANB Tokyo」の1Fにオープンしたノンアルコールバー。
”飲まなくても酔える”をコンセプトに、「お酒でもない、ソフトドリンクでもない、朝から楽しめる新感覚バー」として営業。開店時間は10:00~22:00で、一般的なアルコールが出るバーとは異なる午前中からの深夜前までの時間帯。
オーナーは元俳優で現在はクリエイティブディレクターとして活躍されている小橋賢児氏
今後の展望(まとめ)
近年の特徴は、積極的にノンアルコールを選択する人が増えていることです。
これまでノンアルコールビールの需要は、「運転をする必要がある」「妊娠・授乳中」「体質的にお酒が飲めない」など「お酒が飲めないやむを得ない事情がある」などが挙げられていました。これはユーザー目線というよりもむしろ、メーカー側がこのように捉え、訴求してきたという側面が強いかもしれません。
しかし現在は、「将来の健康のため」「お酒を飲まずに取り組みたいことがある」「睡眠の質を上げたい」など、お酒を飲まないことによるメリットを見据えてノンアルコールビールを飲ぶ人が増えていると考えられています。
お酒を飲んで酔うことで、時間のロスがあるという考え方も、昨今“タイパ”が注目されている傾向とマッチしているのではないでしょうか。
また商品数の増加による選択肢が多くなることもユーザーの広がりを後押します。
ノンアルコール市場は、「あえて飲まない文化」ととともに、今後も広がると予測します。