広告やマーケティング企画立案する中でよく使われるのが、“考え方やテーマ(=コンセプト)”を端的に表現する言葉である「コンセプトコピー」と、そのコンセプトをターゲットへ訴求するため の言葉である「キャッチコピー」です。
この2つ のコピーの大まかな違いは
・企画書の中だけで使うのがコンセプトコピー
・実際の制作物に使われるのがキャッチコピー
と考えれば良いと思います。
別の表現をすると
・発信者(販売者や主催者)が伝えたいものを表現するのがコンセプトコピー
・受信者(消費者や参加者)にとっての魅力を煽るのがキャッチコピー
とも説明できます。
さら に言い方を変えれば
・関係者のためにあるのがコンセプトコピー
・ターゲット(消費者)のためにあるのがキャッチコピー
とも言えます。
コピーが利用される範囲はとても広く、一概に定義することは難しいものです。
ここでの「キャッチコピー」と「コンセプトコピー」とは、主に商品やサービスを販売するセールスコピーやイベントの告知など、目的が明確なものを想定しています。
PRやブランディングなどを含む広告のメッセージコピーについては、後述します。
マーケティング企画で使われる用語としてのコンセプトとは、全体を貫く基本的な考え方のことです。わかりやすい言葉だと「テーマ」でしょう。このコンセプトは企画の様々な施策の基となるものです。
テーマとは、考え方や方向性のことなので、出来上がった広告物に文字として登場するものではありません。具体的には、「どんな雰囲気のデザインにしようか」「どんな施策を実施しようか」など具体的な展開を考えていく方向を定めるものです。
【例】
ある新商品の売り場づくりのコンセプトを「日本の春」にすれば、デザインはピンク系の色味だったり、桜が出てくるでしょう。
また、ワインのキャンペーンのコンセプトを「世界旅行」にすれば、パスポートや世界地図をデザインモチーフにしたり、ワインと合う世界の料理のレシピを紹介するという施策を思いつきそうです。
コンセプトはニュースリリースなどでは発表されます。
企画の種でも、商品や施設、プロジェクトなどのニュースでコンセプトが伝えられている場合は、記載していますので、企画の参考になるかと思います。
【コンプセプトの例(企画の種の記事内より)】
▶パナソニックの環境コンセプトは「Panasonic GREEN IMPACT」
▶六本木のノンアルコールバーのコンセプト「飲まなくても酔える」
▶クラフトボスフルーツティのコンセプトは「仕事中にも飲みやすい、スッキリ系紅茶」
▶のんある酒場のコンセプトは「お酒を飲む人も飲まない人も一緒に楽しめる」
企画書を作成する、プレゼンする際に、相手に「コンセプト」をわかりやすく伝えるための言葉がコンセプトコピーです。
このコンセプトコピーには、企画に必要な「誰に」「何を」「どのように」という要素が含まれている(直接書いてなくともそれが伝わるような言葉になっている)のが理想です。
企画書作成において、コンセプトコピーをわかりやすく、またプレゼンしやすくする ために、コンセプト コピーがキャッチコピーのようになる場合もあります。
コンセプトコピーはあえて設定せずに、キャッチコピーとしてプレゼンする手法もあります。
もちろん、それでも問題ありません。
この企画で、「何を伝えたいのか」がわかるようにすることが重要です。
また、コンセプトとして挙げたものが、実際の企画内容に反映されているのか どうかで、企画のまとまりや訴求力に差がでます 。
つまり、コンセプトやコンセプトコピーは、企画者・プランナーのためのものです。
【例】
健康ドリンクの販促施策で、コンセプトが「新社会人を応援する」である場合。
コンセプトコピーとキャッチコピーを兼ねるような表現「頑張れ!新社会人。」にすれば、制作物に使うこともできますし、企画書に使ってもOKです。
プレゼン相手にも、消費者にも、意味は伝わるでしょう。
キャッチコピーは、いわゆるターゲット(消費者や参加者など)の心を引きつけるような言葉を取り入れて、注目や関心、好奇心を喚起するための言葉です。
※キャッチコピーという言葉は和製英語です。英語ではadvertising sloganです。
キャッチコピーの作成手法はいくつもありますが、代表的なものとしては、「商品やサービスによって購入者が得られる利点(=相手の求めるもの)」を取り入れたり、「利用者の心の声を代弁する」ことが有効です。
企画立案時のコピー考案の流れをまとめると、
コンセプト(アイデアのもと)
↓
コンセプトコピー(意味を正しく伝える言葉)
↓
キャッチコピー(注目や関心を得るために演出をした言葉)
という流れになります。
キャッチコピーを考える際には、心理学の法則を意識してみるのも良いでしょう。世の中で良く見る定番のキャッチコピーのほとんどには、心理学が活用されています。
TVCMなどのマスメディア、ポスターや屋外広告など不特定多数をターゲットとした広告に使われるコピーについて、ここで書きます。
よく「名作コピー」などと言われたりする広告コピーは、見た人の「気持ちを揺さぶる」ことが目的で、すぐに購入や行動に結び付けることを目的にはしていないものが多いです。
例)
わたしらしくをあたらしく ––LUMINE
名前は、親が子供に送る、はじめての手紙なのかもしれない。––パイロット
人は、人の傘になれる。 ––愛媛県
帰ってくるあなたが、最高のプレゼント ––JR東日本
セガなんてだせえよな!プレステの方がおもしろいよな! ––セガ
3階の娘の部屋は、会社より遠い。 ––旭化成ヘーベルハウス
これらは、ユーモアや情緒に満ちたものが多く、表現方法には狙いがあるものの法則や手法で分析されるものではなく、そのメッセージクリエイティブが核です。
このように、コピーを実際に制作するには、そのコピーは誰に対してどのような媒体で露出するのかによって、様々なパターンの作成スタイルがあります。